毎週火曜日更新、「港区とんかつランキング」。なんやかんやでこの企画も10週目。今までは六本木か大門の特定の店のとんかつしか食べてなかったのだが、港区限定ながら色んなとんかつを食べていると、どの店も特徴があって本当に奥深い料理なのだと実感する。
前回、前々回は新橋の2店舗に伺った。今回も新橋の店を攻めようと思っていたのだが、何となく食べログを見ていると3.09という点数ながら美味しそうなとんかつの写真が流れて来た。気になって開いてみると、今年の5月31日にオープンしたばかりのお店があるではないか。口コミもまだ7件。写真からは明らかに美味そうな雰囲気が漂っている。
この港区とんかつランキングでは、店舗数を限定するためにも原則食べログ3.5以上のとんかつ店を対象にしているが、今回は新店舗かつすぐに3.5を越えそうなカツの見た目だったので例外的に。
というわけで伺ったのはこちら。
とんかつ芝
東京都港区芝4-5-9
営業時間
［月～金・祝前］ 11:00～14:30, 17:00～21:00
(料理L.O.20:30 ドリンクL.O.20:30)
［土］ 11:00～14:30
定休日： 日・祝日
訪れたのは平日の12時ちょっと。雨の中タクシーに乗り込み、とんかつを食いに行く。こんな大雨だから、お昼時が混む三田とは言え、空いているだろうと期待していったのだが、店内は満席。
ちょうど1人お会計を終えて出るところだったので、入れ違いで着席。店は細い建物でカウンターが８席、店主さん一人で切り盛りをされている小さな造り。
メニューに目を通すと、通しのメニューとランチ限定のメニューがある。
ランチ限定の「ランチとんかつ定食」も気になったが、ここはフォアロース部分を使った「上ロースカツ定食リヴ（1,580円）」をチョイス。どちらもとんかつ定食もSPF三元豚を使用しているとのことだ。とんかつを食べ歩く中で豚についても勉強しているので、どこかのタイミングでSPFや三元豚については詳しく記事にまとめようと思う。
オーダーをしたらしばらくの待ち時間に調味料をチェック。
岩塩
塩は１種類、ピンク色の岩塩。基本はこれを付けて食べるのが良さそうだ。
胡麻瓶
塩の他には、とんかつソース、醤油（キッコーマン生絞り）、七味、辛子。そして、この胡麻。
ゴマはすり鉢とすりこぎ棒が卓上にあるので、それを各々擦って使うスタイル。大門の「のもと家」もこのスタイルだ。
とんかつが届くまでの間に胡麻を擦って準備しておく。
胡麻の準備も終わり、しばらく待っていると注文から15分ほどで定食の到着。
ご飯 味噌汁 お新香
先にご飯、みそ汁、お新香。みそ汁はわかめと小葱の入ったシンプルで家庭的なみそ汁のようだ。
ご飯は大盛が無料で出来て、店主さんが大盛にするか否か聞いてくれる。拙者は食べきれるかわからないので、普通にしておいた。
上ロースカツ定食リヴ（1,580円）
そしていよいよカツの到着！
こんがりとキツネ色に揚がった程よい揚がり具合。少し粗目なパン粉、高温でカラっと揚がっている。
大きさは160g前後といった所だろうか。
３切れ目
左から３切れ目の断面を見てみると、複雑に入ったサシと赤身部分が良いコントラスト。背ロースではなく、フォアロース部分はこの脂身と赤身の複雑さ、そして肉の柔らかさとジューシーさが良い。
やや下面の衣が剥がれやすかったのだが、とりあえず卓上の岩塩をふりかけてファーストバイトへ向かう。
ザクッ
っと良い音のなる衣を越え、肉を噛みしめる。ゴリっゴリっと口の中でも衣が音を立てるクリスピーナ仕上がり。
舌へ肉が到達すると、じゅわっと広がる豚の旨味。美味い。美味いぞ。
脂身は食感が残る程度の融点で、サクっと歯切れたあとはさらっと溶ける甘い脂。くどさもなく非常に良い。
赤身部分はレアな火入れではないものの、しっとり感はのこっており、非常にジューシー。豚の旨味も存分に感じられる美味いとんかつだ。
４切れ目
続いては左から４切れ目。このとんかつの真ん中の１切れ。
岩塩を振りかけて、一口。
ん～、この豚の強い味、美味しい。これぞまさに豚。塩で食べるべき美味き豚よ。
脂身も上品で非常に良い。しかし、一口目からふと感じた風味。あれはなんだ。
それを探るために、もう一口食べてみる。
なるほど。衣にコショウが入っている。厚さはそれほどではないが、かなりクリスピー感のある固めの衣なのだが、そこにコショウが入っていて、さらにスパイシーな風味も足されている。これはさらに塩に合うわけだ。
脂身、赤身ともに味が濃く、非常に美味い所にコショウの少しのスパイシー感が絶妙。
ご飯
ここですかさずご飯をかき込む。うむ、ふっくら艶やかな炊きあがり。
ご飯のレベルも相当な高さで非常に美味しい。
ますます加速してしまう。
味噌汁
味噌汁はシンプルなもの。わかめと小葱、温まる汁椀。
味付けは濃くも薄くもなく、シンプルな美味さ。
キャベツは写真を撮り忘れてしまったのだが、極細とまではいかない程度の千切りの細さで水水しく美味しい。トマトも１切れついてくる。
一人で切り盛りされているので、キャベツはパサついているか、水にさらして水っぽいかと思っていたのだが、そんなことはなくしっかりと美味しい。
ソースと胡麻をかけて
塩で食べるのが最善だとは思うが、せっかく胡麻を擦ったのでソースと胡麻でも頂いてみる。
ソースをひとかけし、すりごまをふりかける。パクリ。
おぉ。これはこれで美味い。少し酸味とフルーティーな味のするソース、胡麻の風味が相まってクリスピーな衣とも合う。
こってりさはほとんど感じない、サッパリなソースだ。
２切れ目
残りはやはり塩で頂くことに決め、ラストスパートをかける。
赤身、脂身、衣。どれも美味い。
下面の少しのベチャ付きと、剥がれやすさが少し気になる所ではあるが、それにしても美味い。
ご飯、キャベツ、みそ汁と共にガンガンと食い進める。
お新香
お新香はきゅうりキューちゃんのピリ辛漬けのようなもの。結構ピリっと来るので、口直しというよりは白米を進めるのに役立つ。
カツで十分ご飯が進むので、個人的にはもう少しあっさりしたのが合う気がする。
その後ももうスピードで食べ進め、一気に完食。腹は9割ぐらいで限界の満腹までいかず、心地良い満腹感。
成人男性であれば大盛でも食べきれると思われる。
美味い豚、丁寧な接客で非常に良いお店でした。ご馳走様でした。
では総評！
【肉部門】（22 / 25）
・左から３キレ目のファーストインパクト：4.5点
・2切れ目と4切れ目の美味しさ：4.5点
・脂身の美味しさ：4.5点
・全体的な赤身と脂身のバランス：4.5点
・衣：4点
【その他部門】（17.5 / 25）
・ご飯：4点
・キャベツ：4点
・豚汁（普通の味噌汁）：3点
・付け合せ（お新香）：3点
・ソースや塩その他、調味料など食べ方：3.5点
【お店部門】（14.5 / 20）
・店員さんの対応：4.5点
・清潔感：4点
・雰囲気：3.5点
・個人スペース：2.5点
合計：54 / 70 点
新店ながら54点というハイスコア。肉部門だけでいうと、現時点では檍の22.5点に次ぐ2位。３位はのもと家の20.5点。
それほどまでに拙者としては美味いとんかつだった。ご飯とキャベツも美味い。油切れや衣が剥がれやすい点に関しては、今後に期待。
全体的に非常に満足だったのだが、１点かなり気になったのは個人スペースが狭いという点。
店自体も大きくないので、８席をギリギリ入れてあるのだが、カツとご飯、みそ汁、胡麻、お新香を工夫しないと自分のスペースに納められない。
カツの左右どちからにご飯とみそ汁を縦に並べ、胡麻とお新香は奧側のスペースを見つけて入れ込んでおくような形。
お茶はセルフサービスでコップが卓上に並べておいてあるのだが、コップの前に座っている人が食事中だと、その上を通過してコップを取らねばならず、かなり気を使う。
席をこれ以上減らすというのは難しいだろうけど、どうにか工夫をして混みあっている時でも自分のスペースは確保できるだけの余裕は欲しい所。我々おっさんはまだ良いとして、女性の方はちょっと肩身が狭い思いをしてしまいそう。
それ以外は美味しく、店主さんも良い人で非常に満足！ また行きたいと思えるお店でした。ご馳走様でした。
ではまた！
港区とんかつランキング リンク集
港区とんかつランキングリンク集
第一回 大門/浜松町「のもと家」の厚切りロースかつ定食
第二回 大門/浜松町「とんかつ檍」のロースかつランチ定食
第三回 麻布十番「とんかつ 都」の上ロースかつ定食
第四回 六本木「豚組食道」のロースかつ膳
第五回 六本木「イマカツ」の特選ロースかつ膳
第六回 赤坂見付「末吉」の特選ロースかつ定食
第七回 赤坂「とんかつ 水野」の特上ロースかつ定食
第八回 新橋「とんかつまるや 新橋烏森口店」の厚切りロースかつ定食
第九回 新橋「とんかつ 明石」の特ロースかつ定食
第十回 三田「とんかつ芝」の上ロースカツ定食リヴ
第十一回 南青山「とんかつ 赤月」の岩中豚ロースかつ膳
第十二回 白金台「とんかつ すずき」のロースかつ定食
第十三回 御成門 燕楽の「ロースかつ定食」
第十四回 麻布十番 むら中の「特製ロースかつ定食」
昼総合点★★★☆☆ 3.7
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