割烹着を着たおふくろがご飯をよそい、強面な親父が新聞を片手に居間に入る。「ご飯が出来ましたよ~」おふくろの掛け声でかけ集まってくる坊主頭のやんちゃな兄弟におかっぱ頭の妹。みんな揃って頂きます!足の低い大きなテーブルに正座で座る家族、その食卓にはご飯、みそ汁、漬物、焼き魚、お浸し。
昭和時代が舞台のドラマに出てくる美味そうなあの朝ごはん。今宵の飯はそんな定食である。
一汁三菜
東京都港区南青山7-12-13 こすもす南青山 1F
営業時間
[月~金] :12:00~14:30(L.O)18:00~21:30(L.O)
定休日 :土曜・日曜・祝日
場所は南青山7丁目。最寄はいちおう広尾駅だが拙者はどこの駅からも行ったことがないのだが、おそらくそこそこ歩くと思う。日赤通りの中にこじんまりと佇む小さな店で、数年間目の前を素通りして気づきもしなかった。
拙者、病気になると一汁三菜からすぐの日赤医療センターに行くのだが、そこで入院して退院した後や診察を受けた後の帰りに絶対に寄る店なのだ。
カウンター7席のみ、営業時間も短い店なのだがどことなく雰囲気のよい定食屋。店に入りでかい体をカウンター席にねじり込み、今日のメニューを見る。やはりこの季節、秋刀魚だろう。秋刀魚の定食を頼み、ご飯は白米と玄米どちらが良いか聞かれるので白米を頼む。
カウンター越しに秋刀魚を焼くお母さんを観察。ジュジューっと良い音を流しながら、隣では美味しそうにご飯をかき込むお兄さんやお姉さん。
しばし待つとお盆に乗って定食の到着。
秋刀魚定食
おこげの付いたご飯、味噌汁、秋刀魚、お浸し、煮物、お漬物。ザ・定食。ブランド物の肉でもない、旬な珍魚が食べれるわけでもない、だがこれに勝る飯はなかなか無いだろう。
これぞ日本の定食、これぞ日本の心。
もずくの味噌汁
まずは汁から。今宵はもずく汁。一口すするとじんわりと温まる体。
飲むだけで得られる謎の安心感。ほっとする。
秋刀魚の開き
開きの秋刀魚は目の前でじっくりと焼かれていたもの。まずはキレイに箸を通してハラミ部分を狙う。
骨から身を剥がしてきれいに長く抽出した部位を口へ運ぶ。美味い。
釜炊きご飯
すかさずご飯をかき込む。うんまい。
釜で炊いているという白米は見た目の美しさはもちろん、ふっくらとツヤツヤな炊きあがり。おこげが付いた部分は香ばしく、おこげファンにはたまらない。
パリっとこんがり焼かれた秋刀魚の皮目の脂をがっつり頬張り、そこへご飯を合わせれば間違いなしの美味さ。
高野豆腐といんげんの煮物
煮物は高野豆腐といんげん。少量だが、これまた汁をたくさん含んだおデブな高野豆腐が美味いこと美味いこと。
美味しい煮物なんていつぶりだろうか。
青菜のお浸し
秋刀魚、白米、もずく汁のローテーションにお浸しをたまに挟む。うーむ、良い。あっさり控えめな味付けのお浸しにかつお節。
この店のおかずをつまみながら酒を飲んで、〆にご飯とみそ汁なんてやれたらそれまた最高だろうな。
お新香
お新香はきゅうりと人参、昆布の佃煮。
ご飯が美味しいもんだから、お新香と一緒に食べるとそりゃもう最高に美味い。これだけでご飯ばくばく食べれちゃう。
やっぱり日本人には美味い米とお新香、みそ汁、そこに焼き魚があれば何も言うことなし。
その後も箸が止まらず一瞬にして完食。何度でも通いたくなるし、毎日でも食べたい。そんなパーフェクトな定食。
今宵も大満足、ご馳走様でした。
夜総合点★★★☆☆ 3.5